VOICE OF LAKES第3回。
今回はフロント側より、滋賀レイクスターズ代表取締役の坂井信介の登場です。
レイクスの運営会社代表者であり、チーム編成責任者のGMでもある坂井にLakes Magazine(レイクスマガジン)の編集者で、昨季までチームのライターを務めた白井邦彦氏が今シーズンここまでの振り返りとプレイオフに対する抱負を聞きました。
―週末の大一番、福岡戦に連勝して6連勝。おめでとうございます。
ありがとうございます。ここまでシーズン30勝、6連勝はどちらもチーム記録タイです。
今週末のホーム最終節、長野戦を勝ってチーム記録を更新してほしい。
その後はアウェイとなりますが新潟戦、大阪戦も勝ち越して、ひとつでも上の順位でホーム開催を早く決めたいですね。
―4年目の今シーズンは編成面で大幅な入れ替えとなりました。チーム編成期から、ここまでを振り返ってください。
昨シーズン、プレイオフ1回戦で京都を激戦の上で破った。
そこまではよかったものの、カンファレンス・セミファイナルでは沖縄に完敗しました。
戦力的には見劣りはしなかったものの、単に個人能力の高い選手を集めるだけでは、ファイナルには進出できない時代になってきていると痛感して、大幅テコ入れの必要性を感じました。
まずは年々レベルアップするbjリーグの中で、レイクスの今後のスタイルを構築してくれるHCの招聘に着手し、国内外からHC候補をリストアップしました。バスケットボール界の知人の推薦で、豪州NBLリーグで長年のキャリアを持つアランHCに出会いました。
豪州はリーグのレベルが高く、30年以上の歴史を持つプロリーグ。
そこでコーチ経験20年以上、優勝経験も複数回というキャリアは、候補の中では目立ちました。
シャッフル・オフェンスという明快なスタイルがあることも非常に良いと思いました。
「シャッフル」は、コーチが在籍した名門メルボルン・タイガースで長い間継承されてきたシステム。
今後のbjリーグでも十分通用すると考えました。
そこで早速、昨年の有明ファイナルに招待して根間AC、土井AGMと共に観戦の上、そのまま滋賀に来てもらってアランHCの豪州でのゲームビデオや、それまでのレイクスのビデオを見たり、といった打ち合わせを重ねました。
今後のレイクスに適任な人材と判断して正式オファーを出したのが5月末でした。
―その後のチーム編成はどのように進められたのですか?
アランHCとの契約前の打ち合わせ段階から、大幅入れ替えを辞さないことが前提でした。
その上で、HCのシステムにフィットする選手について、意見交換を行っていました。
日本人選手の編成は自然に固まりました。
外国人選手は予算とbjリーグ在籍経験のある候補選手を提示しながら、HCに選択してもらいました。
―結果、昨年のロスターから残ったのは日本人が3名、外国人1名の4名のみで他の半数以上は新規入団という大幅入れ替えとなりましたが、リスクを考えませんでしたか?
通常のシーズンでは数名以内の入れ替えに留めるべきです。
が、今シーズンに挑むにあたっては、1からのスタイル構築が最優先事項と考えていました。
大きな判断もありましたが、 迷いはありませんでした。
ただし、新編成での当初の混乱や、馴染みの無い選手ばかりになることで、人気面の影響が出るリスクは当然考えました。
―そのリスクをあえて取ってでも、変革が必要だったと?
そうです。変革が必要なタイミングと判断しました。
経験豊かなアランHCを招聘できた上にバランスの良い編成ができたと思っていたので、 あとは判断が正解だったと評価を得られるようにチームも会社も努力するのみでした。
余談ですが、レイクスチアも10人中7名がルーキーとなりました。
もちろんチームとは状況は違いますが、共にそういうタイミングだったのは面白いと今、思いますね。
―そしてシーズンイン。 前半戦は好調でしたが、1月2月は苦しみました。
新HC、新システム、新編成で序盤は苦戦すると予想していましたが、前半は連敗なく17勝9敗と思いのほか、良い結果が出ました。
しかし、オールスター明けのアウェイ宮崎戦の最後数秒での逆転負けから4連敗。
その後のホーム大阪戦や千葉戦でも接戦を勝ちきれなかった。
特に守山での大阪戦の連敗はショックでした。
ペップの怪我の影響が取り沙汰されましたが、今思えば、そればかりが原因ではありません。
チームが成熟していなかったのだと思います。
―しかし、3月の彦根での秋田戦からチームは復調します。
チームが昨年夏から一貫して丁寧にハードに取り組んできたことが、試合数をこなし、悔しい敗戦を幾つも経験する中で、結実し始めた印象を持っています。
アランHCは随所に実績あるベテランコーチであると感じさせてくれます。
チームはこうあるべき、という明確な基準を持っていて、ブレない。
リーダーシップや統率力があるのは当然ですが、選手を駒扱いするのではなく、一人の社会人として、職業選手としてコーチングしている印象ですね。
練習でも試合でも一人一人がどのように取り組み、対処するかをコーチしながらも、全てをコントロールするのではなく考える機会、判断対処する余地を与えています。
そうすることで常に、選手やチーム全体の成長を促しているように思います。
そのHCを支える根間ACや土井AGM、石坂トレーナーも常に良いチーム状態を作り出そうとしている上に、選手達も、エゴなくコーチ陣の求めるものを体現しようとしていると思います。
―チームは良い状態になってきたのですね。残る6試合とプレイオフへの抱負は?
今年のチームはまだまだ完成形には至っていません。
ただ、失敗を糧にできるチームになりつつあります。
残る6試合もプレイオフも厳しい試合ばかりになるでしょうが、悲願の有明ファイナルズまで勝ち抜けることを期待しています。
―ここで話題を変えます。今シーズンのチーム会社としての運営面は如何でしょうか?
動員面はここまでホーム24試合を消化して40000人余りの動員。
昨シーズンとほぼ同レベルです。
ホーム開幕の京都戦は多くの来場者を呼び込むことができましたが、2節目以降は伸び悩みました。
後半戦で取り戻しつつあるものの、昨年同レベルの50000人達成にはプレイオフのホーム開催が必要な状態です。
運営会社の収支面でも、ホーム開催がない場合、対昨年比の収支悪化が懸念されます。
まだまだ初期の累積赤字を抱えるプロスポーツ会社で、4年目で収支悪化となると、来季のコスト削減などの検討が必要になるかも知れず、これは好ましくない状態です。
―動員面については昨年までの右肩上がりの成長が止まった形ですね。どう分析されていますか?また、スポンサー企業の獲得については?
原因を特定できませんが、創設期といえる初期3年が終わったということ、編成の大幅変更があったこと、震災や地域経済的要因などの複合要素だと思います。
運営会社としてもチケット代の設定や席種の設定、興行オペレーションなどがベストでなかったかもしれないと感じています。
ここは反省しつつ、改善とレベルアップに取り組んでいきます。
スポンサーについては、昨年の286社から更に伸びてbjリーグで初めて300社を突破しました。
非常にありがたいです。
また関連事業のスクールはバスケットボールスクール、チアスクール共に生徒数が増加して現在400名となっています。
ただ、4年目に入り、個人のブースターもスポンサーも、滋賀レイクスターズという地域プロチームに対して求めるものが、変化しつつあるのも事実です。
我々運営陣がチームと共に常に努力していかないと、動員もスポンサー数も更なる成長を望めないと思っていますので、頑張ります。
―今シーズンは地域スポーツ情報誌である「Lakes Magazine(レイクスマガジン)」の発行を開始したり、スポーツ助成金「Lakes Sports Foundation(レイクス・スポーツファンド)」を開始しました。 これらの展望は?
レイクスターズ創設時より、常々、総合型スポーツクラブを標榜してきました。
マガジンもファンドも総合型にアプローチする中での最初のステップです。
現在、バスケ以外の選手として棒高跳びで五輪を目指す我孫子智美選手が所属していますが、すぐに更なる別競技選手をサポートする余力はないのが実情ですし、ファンやスポンサーに理解や協力を求めていくには時間がかかります。
そこで、まずはスポーツ情報誌の発行によって地域スポーツに焦点をあてて、助成金制度を作ることによって、周囲への理解を求めつつ、県内のいろいろな個人・団体と関係を構築していきたいと考えました。
レイクスマガジンは現在5万部発行、県内250校への直接配布の他、スポンサー企業の店舗などにおいています。レイクス・スポーツファンドはチケット代や、レイクスマガジン広告費からの積み立て、そしてブースタークラブ「クラブレイクス」のプレミアスター会員の会費の一部を原資としてスタートしました。
既に
初年度31件の個人・団体の助成先が決定しました。
助成先の活動の様子は、今後、レイクスマガジンで随時紹介していきます。
また、スポーツファンドは今後の発展や永続運営を視野にいれて公益法人化を目指します。
近い将来に、県内全体の支援でレイクスターズ所属の選手が増えて幾つもの競技のトップレベルで活躍したり、その選手達が滋賀の子供達に直接指導したりするようになるのが理想ですが、実現できると思っています。
そのためにまずは早期に一般財団法人か、社団法人を設立して株式会社の滋賀レイクスターズとは別の運営組織としたうえで、個人、法人の会員制度を設定して、県内で広く理解や支援を求めていきたいと考えています。
これらは、プロチーム運営以外の活動となりますが、レイクスターズの活動理念がそもそも、地域全体に活力を与えたいというものなので、レイクスマガジン、スポーツファンドといった活動も大元の理念に沿ったものです。
―その他の展望や計画はありますか?
バスケットチームの専用練習場やホームアリーナと呼べるような、5000人以上収容の新設アリーナの建設にもアプローチしていきたいですが、現時点では実現の為の背景が整っておらず、青写真段階ですので、段階的にアプローチしていきます。
行政の新設アリーナを利用できるのがベストですが、自助努力でも実現可能かどうか探っていきます。
個人的には、これらは10年後といわず5年以内に目処をつけたいと考えています。
地域の機運を盛り上げることができれば、実現可能と考えています。
―レイクス・アリーナですか!楽しみですね。オフシーズンに入ったら、シーズンの振り返りと共に今後の 展望を再度お聞かせください。では、最後に再度、プレイオフに望むにあたっての意気込みやメッセージは?
プレイオフはチーム間だけの競技力対決という訳ではなく、運営やそれを取り巻く環境全体も含む総合力の対決です。
総合的な地域支持は チームに力を与え、勝敗の機微を左右する要素になります。
あるコーチは、『大歓声はシュートの軌道さえも変える』と表現しました。
昨年のプレイオフ京都戦は土曜の初戦は負けましたが、日曜の逆転勝利は紛れもないホームコートアドバンテージの勝利だったと思います。
チームは一つでも上の順位でホーム開催を勝ち取るべく、グッと集中してきています。
現在、レイクスは京都、大阪の関西内ライバルチームと順位争いを繰り広げており、プレイオフでもどちらかと対戦する確率が高まっています。
レイクスは創設活動から今まで京都、大阪より多くの地域支持を集めてきた市民球団。
総合力対決に勝ち抜く要素を年々強くしてきていると思っています。
アウェイであってもそうですし、ホームであれば尚更、強味を発揮できるはずです。
だからこそ今週末の野洲でのホーム最終節、4月28,29日のアウェイ大阪最終節、そして、プレイオフまで引き続きの声援でチームに力を与えてください。
ぜひ、チームと共に一つでも上の順位でレギュラーシーズンを終えてプレイオフを勝ち抜き、5月19日、20日の有明コロシアムをレイクス・ブルーで染めて、滋賀の活力、底力を全国に発信しましょう!
(編集後記)
クラブとしてのレイクスのさまざまな思い、構想を実現し、滋賀に幸せをもたらすためにも、このプレイオフの戦いは重要です。ブースターのみなさまと、末長く共に歩むべく、レイクスはすべての面でレベルアップし、その中でみなさんとともに勝つことが何よりも大事になります。
代表の言葉通り、共に戦いましょう!
それではみなさま、ファイナルで。
…次回もVOICE OF LAKESをお送りいたします。
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