-Road to THE FINALS- 滋賀レイクスターズ プレイオフ特設ブログ2012

VOICE OF LAKES #31―坂井信介代表兼GM

当ブログも、あと2回を残すのみとなりました。
VOICE OF LAKES第31回は、代表兼GMの坂井信介の登場です。
GMとして、そして運営会社の社長として、今後のビジョンを中心に語ります。

―まずは、GMとしての坂井さんにお聞きします。プレイオフの結果をどのように受け止めていますか。

3年連続でカンファレンス・セミファイナル敗退。
そして、2年連続でアウェイで沖縄に敗れてしまった。
アップセット(=下位チームが上位チームを倒すこと)も可能かと思っていましたが…。
結果は昨季と同じですが、昨季以上の悔しさを感じましたね。

―原因はどのあたりにあるのでしょう。

もちろんニチィの怪我という不運は大きかったんですが、それを差し引いても沖縄との差はありました。
沖縄はたとえけが人が出ても、それをきちんと補うことができている。
フロアバランスにしても、役割分担にしても、非常に相互補完的なものを感じました。

―結果としてはその沖縄が有明のファイナルズを制して優勝しました。

これについては、素直におめでとう、と言いたいですね。
今回の優勝は、少しミラクル的な要素もあった3年前の初優勝よりも価値が高いと思うんですね。
bjリーグ7年目という局面を考えても、沖縄のようにちゃんと地域の支持を受けて、運営会社を含めたチーム力がしっかりしているチームが優勝することの意味は大きいです。
年々リーグのレベルも上がる中で、チームとして明確な方針を持ち、なおかつ独立採算でしっかりと利益を出し、チームとしても結果を出す。
沖縄は、bjリーグのチームとして、あるべき形の理想を実現しつつあるなと感じます。

―有明といえば、お隣の京都ハンナリーズが初進出を果たしました。

これは本当に悔しい。カンファレンスファイナルで有明コロシアムのコートに立つ京都を最初は直視できなかったです。
ブースターのみなさん、スポンサーのみなさん、そして関係者、チアチーム…。
有明でファイナルズを観戦しながら、みなさんを有明に連れてこれなかった悔しさを、例年以上に感じていました。

―そうですね。さて、最終結果はともかくとして、全体としてのレイクスのシーズンはどうだったのでしょう?

アラン(・ウェストオーバー)HCを迎えて、芯の通ったシステムで作ったチームの成長は感じます。
レイクス史上最多の33勝、そして9連勝できたことは確かな成果といえるでしょう。
が、その一方で、もう一歩勝ちきれなかったり、あっさり大敗、という試合もいくつかあった。
その「いくつか」を勝てなかったことが、関門なのかなと思いますね。
36勝すれば2位になれていましたが、あと3勝ができなかった。
そのおかげで、日本一のホームアドバンテージを作り出している沖縄でカンファレンス・セミファイナルを戦うことになってしまったわけですから。

―今季の結果を受けて、来季はどのような強化を考えていますか?

昨季のオフのような大きな入れ替えは考えていません。
ただもちろん、まったく同じにはならないと思います。
沖縄、浜松といったトップグループのチームに負けないフロアバランスを実現することはもちろんですが、アランHCの2年目に入るにあたって、よりHCのスタイルに合わせる必要があります。
チームディフェンスを掘り下げるというテーマもありますし、より「シャッフル」に必要な選手、勝利に貢献できる選手を集めます。
その意味ではオーソドックスなbjリーグのチーム編成とはやや異なるかもしれませんね。
あとは、滋賀レイクスターズというクラブや、滋賀という地域に対してロイヤリティ(=忠誠心)の高い選手を集めたいと常々思っています。
ブースターのみなさん、スポンサーのみなさん、そして滋賀という地域をより意識し、真の意味で共に戦って、一緒に成功を目指せる選手、というイメージですね。
「2年以内にbjリーグ制覇」という短期目標とともに中長期で安定強豪とならなければいけません。
特にライバルの京都、大阪より常に上位でいられるように努力します。
これから5年、10年の通算成績で上回れるように強い伝統を作っていきたいです。


―なるほど。さて、ここからは社長としての坂井さんにお聞きします。会社としての今シーズンは。

可もなく、不可もなく、といったところですね。
「可」だったところは、今期も単年度黒字を達成できそうなこと。
これはプレイオフをホーム開催できたことが大きいんですが、発足から4年、やっと事業の継続性が担保できてきたかな、と思います。
それから今年、ついにパートナー企業の数が300社を超えました。
ご協賛の形はいろいろですが、bjリーグではもちろん最多です。
ブースタークラブ「クラブレイクス」の会員様も2901名に増えたことも含め、特定の数社や支援者に偏った運営でなく、より多くの方に支えていただきながら戦うというわれわれの目指す形をより深められたと思います。
ただ、2期連続の黒字を達成できる見通しであることはいいのですが、コストを切り詰めた上でのギリギリトントンという状態であり、特に強化に直結するチーム運営費を増額していける収支状態ではありません。

―そのほかに、課題だったところは。

これも収支に直結するところですが、観客動員の減少ですね。
昨季と比べ、1試合平均で150人ほど減少しています。
喫緊の課題として捉えていますが、原因は複合的であり、一つではないと分析しています。
ここは興行としてのレイクスの試合をもう一度見直して、より魅力のあるものにする必要があります。
すでに来季に向けては演出面や、興行オペレーションの見直しに向けて会議を重ねています。 ゲームやその前後の演出の見直しから、興行スタッフの配置、対応、チケット価格や席種の設定、ブースタークラブのあり方など、総合的な見直しに着手していきます。
全体をレベルアップして、何度来場しても楽しんでいただけるエンタテイメント空間を作り上げていきたいです。

―来季の開幕戦をお楽しみに、ということですね。

もちろん。
ですがそれに先駆けて、9月に滋賀でプレシーズンマッチをかねたカップ戦を企画しています。
近日発表できると思いますが、bjリーグの数チームを集めた形でのカップ戦になります。
レイクスの新チームをお披露目することはもちろんですが、近隣のbjリーグブースターのみなさんや、バスケットボールファンのみなさんが集まって新シーズンを占いながら、楽しめる場にしたいですね。

―バスケットボール興行以外の関連事業としては今季は「レイクスマガジン」の創刊や「レイクス・スポーツファンド」の創設が大きなトピックでした。
まず、レイクスマガジンについてですが、他チームで見受けられるブースター向けのみのマガジンではなく、レイクスのページはあえて2ページに抑え、地域のスポーツを掘り下げるマガジンにしているのが最大の特徴です。
びわ湖毎日マラソンの特集号があったり、長浜を中心にしたアメリカン・フットボールであったり、瀬田のボートなど、滋賀ならではのスポーツの起源を掘り起こしていく企画もできつつあります。
学生だけでなく、滋賀のあらゆる世代のあらゆるスポーツに対してエールを贈る、そんな雑誌でありたいと思います。

―しかし、インターネットが情報ツールとして発展している今、なぜあえて雑誌だったのでしょうか?

記録物として残すには、やはり活字媒体なんですよ。
スポーツ雑誌でいえば「ナンバー」のような、バックナンバーに価値が出る雑誌にしたいです。
私個人のエピソードで恐縮ですが、ある音楽雑誌を20年分保管していました。
5年前にその音楽を研究しておられる大学教員の方に寄贈したところ貴重な資料だと大変喜んでいただきました。
逆の体験としては「ナショナル・ジオグラフィックマガジン」(景観、歴史などの総合雑誌として高い品質を誇る雑誌)の古い英語版バックナンバー数年分を海外の知人から譲り受けたことがありました。
その後、日本語版が創刊されたので10年単位で購読していました。いずれも実家に保管しています。
レイクスマガジンは滋賀の全46の公立図書館にも置かれているんですよ。
フリーペーパーとして採算とることには苦労しますが、なんとしてもクオリティーをあげながら継続発行していきたいですね。

―レイクス・スポーツファンドについては。

チケット収入やレイクスマガジンの広告収入からの寄付、クラブレイクス会費からの寄付などの現在の収入からの積み立て方式で今年度からすでに地域スポーツ助成を始めているのは周知のとおりです。

今後、さらなる拡大とビジョンの実現を目指してレイクス・スポーツファンドを運営する財団法人の設立を進めています。 当初は一般財団法人ですが、公共性を訴えて公益財団法人として認可受けられるように頑張りたいです。
株式会社としての滋賀レイクスターズとは別組織として個人会員、法人会員制度を作って支持を訴えて発展継続させていきたいですね。
ファンドの規模が大きくなれば、多くの県内の大会に協賛したり、我孫子智美(棒高跳び)のようなバスケットボール以外の所属選手をもっと抱えることもできます。
イメージしているのは、そうしたトップ選手を抱え、その技術や経験をスクールという形で継承する形です。
将来、そこからトップ選手を輩出できたら最高ですね。

VOICE OF LAKES #31―坂井信介代表兼GM

プレイオフ・ファーストラウンド福岡戦の勝利の瞬間(滋賀県立体育館)。

レイクスのホームアリーナ中最大の県立も、収容人員は3000人規模に止まる


―さて、もう一つ大きな話題を。レイクスの本拠地として専用アリーナへ向けた構想が一部メディアに掲載されました。「5年以内に」という明確な期限がついていることが話題を呼んでいます。
まだ構想段階ですが、可能だと考えています。
県内での建て替えを見込み、そこをホームアリーナ的に利用できるように行政と協議していくことも可能ですが、よりよい形として目指しているのは、設計、プランニング当初からレイクスが関わるコラボレーション形式です。
私達が必要とする設備を入れ込むことはもちろんですが、建設後の運用にいたるまでに関わる形ですね。
行政が建て、運用も条例範囲内で行うという「公設公営」の形は、近年、少し限界が見えてきているように思えます。
特に5000人規模の興行対応アリーナになると、行政が全てのリスクを負うのは無理があります。
最近主流になりつつある指定管理者制度(行政が建てた施設の運営を「指定管理者」としての民間業者に委託する制度)も、制度設計としてまだまだ不備があります。
維持運営費の捻出に四苦八苦している公営施設が多いことは周知の通りです。
われわれは、4年間で100を超える興行を手がけてきましたが、この過程で得られた運営ノウハウや、企画力もありますから、一般利用、多目的利用を含めてより現実に近く、大風呂敷にならない計画を、運営主体として提示できると考えています。
ハード・ソフトの考え方でいけば、レイクスはソフト面のシンボルとして総合型スポーツクラブとしての発展を目指し、ハード面としてはアリーナの新設を目指していくという感じですね。

―場所は…。

必然的に、湖南地区(大津市東部、草津市、守山市、栗東市、野洲市の一部などを含むエリア)になると考えています。
ここは半径数十キロメートルの間におよそ110万人が集まっているんですね。
基礎自治体の配置としては数市に分散していますが、政令指定都市に匹敵する規模です。
5000人収容の興行仕様のアリーナを作れば、滋賀県内はおろか京都まで含めても、ほとんどありません。
これを滋賀のシンボルとして作ることが大事です。
シンボルの効果は、バスケットボール興行の活性化にとどまりません。
似た規模のスポーツイベントで言えば、他スポーツの公式戦も実施ありますし、この規模ならミュージシャンのアリーナツアー誘致も可能になる。
もちろん、学生や社会人の近畿大会、全国大会レベルも誘致できる。 
そうなれば滋賀の地域活性化のアイデンティティ的存在となりえますし、そのアイデンティティを確立できれば、いろんな間接効果も出てくると思います。
例えば若い世代の「地元離れ」を止められるとかですね。

―そうなると、レイクスの活動も、いよいよ県内全域を巻き込んだものになりますね。

そうです。
そこをにらんで、来季は新しいスローガンを作りたいと思います。
滋賀で活動すること、地域のために活動することを改めて謳うようなものにするつもりです。

―最後に、ブースターのみなさま、スポンサーのみなさまへのメッセージをお願いします。
来季こそは有明進出、そして優勝を目指して戦うとともに、総合型スポーツクラブとしての歩みを本格化していきます。
これまで以上に、みなさまの支えが必要になります。
ひとつになって、戦っていきましょう!


(編集後記)
GMとして、社長として2つの顔を持つ坂井。
チームとクラブ、それぞれのビジョンの実現のため、日々奔走しています。
優勝へ向けたチーム作り、地域の支持を得て活動できるスポーツクラブの構築。
多岐にわたりはじめたレイクスの活動も、みなさまの支えがあってこそ。
今回ご紹介したビジョンは、少しずつ、少しずつ前へ進んでいくと思います。
どうぞ、温かく見守っていただくとともに、ご協力くださいますように、お願いいたします!

さて、当ブログも次回がついにラストです。
ラストを飾るのは、チームを支え続けた、小川伸也キャプテンの登場です!

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Posted by 滋賀レイクスターズ.at 2012年06月04日17:54
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